業績数値を理解しよう(2)
それでは、今回は、業績数値データの分析方法に関して解説していきます。
5)利益率を出してみる (profit ratio)
業績数値を分析する手始めとして、まず各種利益率を出してみましょう。
利益率は、売上高に対して利益がどれくらいあるかをパーセント(%)で示したものです。
算出方法は、非常に簡単で、以下の通りです。
売上総利益率は、「売上総利益 ÷ 売上高 x 100」で、
営業利益率は、「営業利益 ÷ 売上高 x 100」で算出します。
前回の損益計算書に、上記2種類の利益率を加えたのが、下表になります。
6)比べる (comparison)
それでは、改めて利益率が追記された損益計算書を使用して、業績数値の分析を行ってみてください。
何か見えてきましたか?
確かに、先ほどの計算によって、利益率は見えるようになりました。
他に何か分かりましたか?
おそらく、何も分からないのではないでしょうか?
上の表をいくら眺めてみても、「ふーん、そうなんだ」で終わってしまうでしょう。
数値というものは、それ単体ではメッセージを発信してくれないのです。
数値に、その数値が意味するところを語らせるには、ひと手間が必要です。
では、何をすればいいのか?
それは、仲間を連れてきて、隣に置くことです。
つまり、同様のデータを並べて、比べてみることです。
以下で、詳しく説明していきます。
上記の損益計算書が、例えば「〇〇商事㈱東京支店の2019年12月の業績」だったとします。
この場合、比較対象のデータとしては、以下が考えられます。(もちろん、他にも比較の方法があると思います。)
①〇○商事㈱東京支店の2019年12月予算
②〇○商事㈱東京支店の2019年11月実績
③〇○商事㈱東京支店の2018年12月実績
④〇○商事㈱大阪支店の2019年12月実績
それでは、①から④と比較をすると、何が見えてくるのでしょうか?
以下でそれぞれ見ていきます。
①〇○商事㈱東京支店の2019年12月予算と比較
同じ月の予算と比較します。
企業における予算とは、年度が始まる前に決定しておく業績の目標数値のことです。 会社、或いは部署が、達成しなければならない数値で、売上高、営業利益等科目ごとに額が決められます。
いわば、予算とは、その年度における仕事の設計図と言ってもいいでしょう。
予算(「設計図」)と比較することにより、実績(今の実態)が、上回っているのか(過達)、下回っているのか(未達)を把握します。もし下回っていたら、早急に原因を分析して、なぜ予算通りにいかないのかを突き止め、それに対する対策を打たねばなりません。
ちなみに、予算は、英語でbudgetと言います。
②〇○商事㈱東京支店の2019年11月実績
前月の実績と比較します。
1か月前の実績と比べることで、直近の動向を知ることができます。
1か月前と比べ数値が大きく改善した/悪化した場合は、この1か月間で何らかの変化点があったことになります。それが、何かを突き止めます。
③〇○商事㈱東京支店の2018年12月実績
今度は、1年前の同じ月の実績と比べます。
1年前と比べることで、1か月前との比較では表れてこなかった変化が浮かび上がるかもしれません。また、業種によっては季節変動が大きい為、1か月前の実績と比べてもあまり意味をなさないこともあるかもしれません。
*②③の比較を行い、売上高、売上総利益、営業利益に大きな変化がないかを見ます。
④〇○商事㈱大阪支店の2019年12月実績
同様な事業を行っている組織との比較です。
同じ会社で類似の事業を行っている支店(部署)と比べたり、或いは同業他社と比べるという方法もあります。
ただ、同じ会社の別支店(部署)のデータでしたら入手できますが、同業他社のデータは入手が困難かもしれません。
業績数値データの分析方法を図示すると、以下のイメージになります。
数値を扱う時は、以下をイメージしながら行ってください。
業績数値を理解しよう(1/2)は、こちらから。
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業績数値を理解しよう(2)
利益と利益率から売上を計算する方法 サラリーマン算数(1)
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